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2012年12月17日

産総研、チャネル長3nmのトランジスタ動作に成功

 独立行政法人 産業技術総合研究所(産総研)ナノエレクトロニクス研究部門連携研究体グリーン・ナノエレクトロニクスセンター右田 真司 主任研究員らは2012年12月12日、チャネル長が3 nmという非常に小さいトランジスタの動作実証に成功したと発表した。
 開発したトランジスタは、シリコン結晶をアルカリ溶液で溶解したときにできるV型の溝を利用して作製した。溶解条件を調整することで溝の先端部分を3nmの鋭さに仕上げ、この部分をチャネルとした。接合は、シリコン結晶全体に不純物を均一に分布させる新しい技術で形成した。電気特性では、長さ3nmのチャネルに対してチャネル厚さを1nm相当に薄くしたときに、電流調整能力が最大化した。さらにトランジスタを流れる電子の速度を調べたところ、長さ3nmのチャネル内部では散乱の影響が抑制され、準弾道的に流れていることが確認できた。これはエネルギーを損失せずに電気が流せることを意味しており、集積回路の消費電力低減が期待できるとしている
 今回の技術は、既存の半導体製造方法を用いながら、ナノメートルスケールの構造制御技術および新しい接合技術を取り入れることによって開発した。絶縁膜の上にシリコン単結晶が貼り合わせてあるSOI基板を用いてトランジスタを作製した。最初にアルカリ溶液でシリコン単結晶の限定された領域を溶解してV型の溝を形成した。シリコンの結晶面によって溶解速度が大きく異なる性質を利用することで、特定の結晶面が残り、V型の溝が形成される。溶解の温度や時間を調整することで、V溝の先端は曲率半径が3nmという鋭さになる。この部分がトランジスタのチャネルになる。一方でSOI基板の厚さについてはV溝の深さを精密に調整することで、チャネルの厚さが自在に設計できる。V溝構造を形成した後にゲート絶縁膜とゲート電極膜を堆積、パターン加工を行ってゲート電極を作製する。ソースとドレインに相当する部分にイオン注入を行う。最後に高温の熱処理で不純物の拡散を促進し、シリコン結晶全体にわたって不純物を均一に高濃度に行き渡らせた。これまでのトランジスタの作製方法では、不純物の拡散を抑制して濃度勾配を作り出し、PN接合を形成する。ところが微細化が10 nm以下のトランジスタにおいてはPN接合の形成は困難である。そこで今回の開発ではこの課題を克服するために、PN接合を用いずにゲート電極の電界によって作り出されるエネルギー障壁だけでトランジスタを動作させる、新しい接合技術を取り入れた。
 また、SOI基板のチャネル部分の厚さを変化させて作製したチャネル長3nmトランジスタのゲート電圧とドレイン電流の関係。チャネル部分の厚さを1nm相当に薄くすることが、高性能化にとって必須である。さらに今回開発したトランジスタ内部の電子の速度を解析した結果は、ソース端からドレイン端まで一定の速度で電子が流れている。通常のトランジスタの場合、ソース端から注入された電子はチャネル内部での散乱を受けるために次第に速度が低下する。ところがチャネル長3nmのトランジスタでは、電子がほとんど散乱を受けずにドレインまで到達するので、速度が一定に保たれている。散乱を受けないということは、トランジスタ内部でエネルギーを損失しないことを意味する。このようなトランジスタを将来のLSIに用いれば、消費エネルギーの低減が期待できるという。
 今後、産総研では今回開発したトランジスタを元に、さらに低消費電力化が可能な新原理トランジスタの研究を発展させるとしている。

URL=http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2012/pr20121212/pr20121212.html

 

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